全チーム同じ強さでシミュレーションしてみた(サッカーJ1編)

「スポーツアナリティクス Advent Calendar 2019」*1 の15日目の記事です.
そして, 12/7に行われたJapan.R *2 でのLT発表 *3 をサッカーのJ1でも検証してみた内容になります.

はじめに

サッカーJ1のチームが全て同じ実力の場合, リーグ戦の結果はどうなるでしょうか?

1チームあたり34試合行うので, 全チーム17勝17敗? それとも引き分けも考慮して13勝13敗8分くらい?
もちろんそういった結果になる可能性もありますが, 実際には運がいいチームと悪いチームで差が出てしまいます. その差がどの程度になるのかをシミュレーションで求め, 実際のJ1の結果と比較としたのが今回の記事となります.

J1のルール

まず, シミュレーションを行う前にJ1のルール *4 について整理します.

今回関係がある箇所をまとめると,
1. 全18チームによるホーム&アウェイ方式による2回戦総当たりリーグ戦(同じチームと2試合する)
2. リーグ戦終了時点, 勝点合計の多いチームを上位とし, 順位を決定(勝利: 3点, 引き分け: 1点, 敗戦: 0点)
の2点になります. プロ野球の場合は勝率で順位を決めるのですが, J1の場合は勝点で順位を決めています. サッカーは引き分けになる確率も高いので, 引き分けを無視することはできなさそうです.
今回は実際のJ1の結果から引き分けになる確率を23%としてシミュレーションを行いました. (勝ち: 38.5%, 引き分け: 23%, 負け: 38.5%)

10000シーズン分シミュレーション

ルールがわかったので早速シミュレーションしてみます.

全チームの勝点の分布

18チーム×10000シーズン分の勝点の分布は以下のようになりました.
47あたりの勝点になることが最も多く, そこから離れるほど少なくなっていますが, 60を超えたり25を下回ったりすることも割とあるようです.

f:id:flaty1992:20191214111500p:plain
全チームの勝点分布

優勝チームの勝点の分布

次に優勝チーム(各シーズンで勝点が一番大きいチーム)の勝点分布です.
61前後が最も多いですが, 70を超えたり55を下回ったりすることもある様子.

f:id:flaty1992:20191214111525p:plain
優勝チームの勝点分布

最下位チームの勝点の分布

同様に最下位チーム(各シーズンで勝点が一番小さいチーム)の勝点分布です.
優勝チームの線対称な分布となっており, 33前後が最も多いですが, 40を超えたり25を下回ったりすることもあるようです.

f:id:flaty1992:20191214111600p:plain
最下位チームの勝点分布

実際のJ1の結果と比較

では実際のJ1における結果はどのようになっているのか, シミュレーション結果と比較していきましょう. 今回はJ1が18チームになった2005年以降の15シーズン分の結果を比較に用いています.

全チームの勝点分布

70以上や25以下の勝点もけっこうあることがわかります. シミュレーション結果と比べて, 広がりが大きい分布となっているようです.

f:id:flaty1992:20191214113106p:plain
全体の勝点分布(上: シミュレーション, 下: 実際のJ1)

優勝チームの勝点の分布

15シーズン分しかないですが, 実際の優勝チームの勝点は70程度となることが多いようです. とはいえ, 60で優勝している年 *5 もありました.
シミュレーション結果と比較すると, 実際の結果の方が大きい勝点となっているようです.

f:id:flaty1992:20191214114306p:plain
優勝チームの勝点分布(上: シミュレーション, 下: 実際のJ1)

最下位チームの勝点の分布

実際の最下位チームの勝点は20前後と優勝チーム以上にシミュレーションの分布と異なっているようです...

f:id:flaty1992:20191214114333p:plain
最下位チームの勝点分布(上: シミュレーション, 下: 実際のJ1)

まとめ

全チームの強さが同じと仮定してリーグ戦のシミュレーションを行ってみた結果, 優勝チームの勝点は61程度, 最下位チームの勝点は33程度になることがわかりました.
実際のJ1における勝点の分布はシミュレーション結果と異なることから, 当然ですがJ1は完全な運ゲー(実力差なし)という訳ではさなそうです.